成績概要書(2004年1月作成)

研究課題:ばれいしょ地域在来品種「北海50号」の特性調査
担当部署:中央農試 作物開発部 畑作科
協力分担:石狩南部地区農業改良普及センター、JA道央恵庭営農センター
予算区分:なし
研究期間:1966〜1975年度、2002年度(昭和41年〜50年度、平成14年度)

1.経過(および申請理由)
 「北海50号」は、「男爵薯」より早期肥大性に優れ、早掘りで多収を示し早期出荷用として期待されたが、奨励品種にはならなかった。本品種は恵庭市を中心に栽培され、道内、関西・中京の消費地から強く要望されている端境期の供給に応えてきた。なお、本品種は品種登録されていない。2003年3月馬鈴しょ地域在来品種等増殖計画検討会議において検討の結果、増殖申請受入れが承諾された。
1).来歴:1962年北海道農業試験場作物第1部第2研究室において、「男爵薯」を母、「96-56」を父として人工交配を行い、1969年「北海50号」の系統名を付して地方配布した。
2).取り纏め方法:(1)昭和46年度北海道農業試験会議成績会議資料「ばれいしょ北海50号に関する試験成績書」からの引用。
(2)1969年〜1975年の7年間、中央農試で実施した奨励品種決定基本調査の成績取纏め。
(3)平成14年、恵庭市下島松の農家圃場に調査圃場を設置し、特性調査を実施。
2.結果の概要・要約
1).形態的特性: 小葉の葉色は淡緑色。花は白色で、花数は少なく、自然結果は無い。茎長は「男爵薯」並み〜僅かに低い。塊茎形状は球形、粒揃いは良好、粒大は大きい。皮色は淡黄色。目は浅く、表皮はややネットを呈する程度で、外観は良好。肉色は白色。
2).生態的特性(「男爵薯」と比較して): 開花期および茎葉黄変期はほぼ「男爵薯」並み。着生上いも数はやや少なく、平均上いも1個重は大きい。上いも収量は「男爵薯」よりやや多収で、特に早期肥大性に優れるため、早掘り時の収量は優る。疫病抵抗性遺伝子R1を有する。
3).調理特性: 肉質はやや粘質、煮くずれは少なく、調理後の黒変は無い。
 
表1. 北海道農試における地上部及び塊茎の特性(1966〜1971年の6年平均)
特性         品種 北海50号 男爵薯 特性 北海50号 男爵薯
葉色
花色
花数
自然結果
茎長(cm)
開花期(月日)
黄変期(月日)
早掘り上いも収量比(%)
早掘りでん粉価(%)
収穫期上いも数(個/株)
収穫期上いも1個重(g)
収穫期上いも収量(㎏
/10a)
収穫期でん粉価(%)
淡緑
白
少
無
43
7.6
8.22
130
12.3
7.4
128
3,165
13.2
緑
淡赤紫
中
無
47
7.6
8.21
100
14.1
9.2
88
2,795
15.4
塊茎の形状
塊茎の大きさ
目の深浅
表皮の粗滑
塊茎の外観
塊茎の皮色
塊茎の肉色
塊茎の休眠
塊茎の貯蔵性
水煮の肉質
水煮の煮くずれ
水煮の黒変
水煮の食味
球
極大
浅
やや滑
良
淡黄白
白
長
中
やや粘質
微
無
やや不良
球
中
深
滑
やや良
淡黄白
白
長
中
粉質
中
微
やや良
                    (「昭和46年度北海道農業試験会議成績会議資料」より抜粋)
表2. 中央農試における調査結果(1969〜1975年の7年平均)

品種
開花始
(月日)
枯凋期
(月日)
茎長
(cm)
平均1個
重(g)
上いも収量
(㎏/10a)
同左比
(%)
でん粉価
(%)
北海50号 7.3 9. 6 46 112 3,715 121 12.4
男爵薯 7.3 8.28 50 94 3,065 100 13.4
標準との差  0  9 −4  18  650 21 −1.0 
表3. 生育期節及び形態特性調査(2002年:恵庭市下島松現地農家圃場)

 
生育期節 (月.日)
 
形態特性調査
北海50号 男爵薯 比較 北海50号
萌芽期
着蕾期
開花始
開花期
終花期
茎葉黄変期
5.12
5.27
6.12
6.14
6.25
7.15
5.13
5.30
6.14
6.16
7.01
7.26
−1
−3
−2
−2
−6
−11
花  色
花  数
塊茎形状
皮  色
肉  色
目の深浅
白
中〜少
球
黄白
白
やや浅
 
表4. 収穫期別の収量調査(2002年:恵庭市下島松現地農家圃場)
         収穫日 7月10日 8月1日
収量調査 北海50号 男爵薯 比較 北海50号 男爵薯 比較
着生いも数(個/株) 8.0 8.3 −0.3 9.3 10.2 −0.9
規
格個別 数
  割
  合
(%)
2L(190~260g)
L(130~190g)
LM(100~130g)
M(70~100g)
S(40~70g)
くず(40g以下)
1.3
25.0
13.8
20.0
25.0
15.0
0.0
3.6
1.2
19.3
51.9
24.1
  1.3
 21.4
 12.6
  0.7
−26.9
−9.1
7.5
17.7
16.7
20.4
8.6
28.6
2.9
6.3
9.2
30.1
34.0
17.5
  4.6
  11.4
  7.5
−9.7
−25.4
  11.1
全いも収量(㎏/10a)
S〜2L規格内収量割合(%)
 〃  規格内収量(㎏/10a)
 〃  同上標準対比(%)
3,876
97.1
3,764
182
3,029
68.3
2,069
100
847
28.8
1,695
82
3,776
92.7
3,500
96
4,212
86.2
3,631
100
−436
6.5
−131
−4
〔耕種概要〕(1)栽植株数:4,762株/10a(畦幅70㎝×株間30cm)。(2)施肥量(㎏/10a):窒素7.0、燐酸24.6、カリ9.8。(3)植付期:4月21日。(4)その他栽培管理は、農家慣行法による。
〔平成14年の生育概要〕:雪解けが早く、圃場条件が良好であったため、植付期は平年より4日程度早かった。植付期以降〜6月中旬まで高温・多照・乾燥気味で経過したため、萌芽期は平年より10日早く、 開花期は12日、茎葉枯凋期では15日も平年より早く生育が進んだ。
 
4.栽培予定地域(種馬鈴しょの配布先)
   (1).増殖申請者:道央農業協同組合
   (2).栽培予定地域:恵庭市ほか全道各地、2005年一般圃栽培見込み面積100ha
 
5.成果の活用面と留意点
地域在来品種等栽培の資料とする。